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金属屋根・ガルバリウム鋼板とは?特徴・構造・施工の基本を解説

執筆:株式会社 大日本絋産 技術スタッフ

この記事について

本記事は、株式会社 大日本絋産の社内教育資料として作成するとともに、屋根工事について知りたい一般の方にも役立てていただけるよう公開しています。

今回は、住宅の新築や改修でも使用される「金属屋根」について、ガルバリウム鋼板との関係や特徴、構造、施工時に考えるべき基本を解説します。

ガルバリウム鋼板を使用した金属屋根の施工例

金属屋根とは

金属屋根とは、鋼板などの金属材料を使用した屋根の総称です。

住宅では、金属製の屋根材を屋根面に施工し、屋根材同士を重ねたり、かみ合わせたりしながら一つの屋根をつくります。

金属屋根と一口にいっても、使用する材料や形状、施工方法はさまざまです。

住宅で使用されるもののほか、工場や倉庫などで使用される折板屋根も金属屋根の一種です。

そのため「金属屋根」という言葉は特定の一製品を指すものではなく、金属を主材料としてつくられた屋根全体を表す言葉として理解しておくと分かりやすくなります。


ガルバリウム鋼板とは

ガルバリウム鋼板は、金属屋根材などに使用される鋼板の一つです。

住宅の金属屋根について説明するときに「ガルバリウム屋根」という言葉が使われることがありますが、厳密にはガルバリウム鋼板は屋根の形や工法の名称ではなく、屋根材に使われる材料の名称です。

つまり、

金属屋根=屋根の種類

ガルバリウム鋼板=その屋根材に使用される代表的な材料の一つ

という関係で考えると分かりやすくなります。

現在は、表面処理や塗装などを含め、さまざまな仕様の金属屋根材が販売されています。

実際の施工では、「金属だから全部同じ」と考えるのではなく、使用する製品ごとの材料、形状、固定方法、施工条件を確認することが重要です。


金属屋根の特徴

金属屋根の大きな特徴の一つが、比較的軽量であることです。

屋根は建物の高い位置にあるため、屋根材の重量は建物全体にも関係します。

金属屋根は瓦などと比較すると軽い製品が多く、新築だけでなく屋根改修にも使用されています。

また、材料を長尺で施工できる製品もあり、屋根面にできる継ぎ目を少なくできる場合があります。

一方で、金属屋根には金属特有の性質があります。

表面の傷、切断部、雨水が滞留する部分、異なる金属同士の組み合わせなどについて注意が必要になる場合があります。

そのため「金属だから強い」「ガルバリウムだから錆びない」と単純に考えるのではなく、材料の性質を理解して施工することが大切です。


金属屋根も屋根材だけで防水しているわけではない

金属屋根であっても、屋根材だけで建物の防水をすべて成立させているわけではありません。

一般的な住宅では、野地板などの下地の上に下葺き材を施工し、その上へ金属屋根材を施工します。

屋根材の表面で雨水の大部分を流し、屋根材の内側へ水が入った場合には下葺き材で受けて外へ排出する。

この基本的な考え方は、ほかの屋根材と共通する部分があります。

金属屋根を学ぶ際にも、完成した屋根材だけを見るのではなく、その下にある下葺き材や下地まで含めて屋根全体を考えることが重要です。


金属屋根の主な葺き方

金属屋根には、さまざまな施工方法があります。

住宅では、屋根材を水平方向に施工していく横葺きや、棟から軒先方向へ長く施工する縦葺きなどがあります。

さらに、屋根材同士の接合方法や固定方法にもさまざまな種類があります。

同じ金属材料を使用していても、屋根材の形状や接合方法が違えば、水の流れ方や施工方法も変わります。

そのため施工する側は、「金属屋根」という大きなくくりだけで覚えるのではなく、実際に使用する製品がどのような構造になっているのかを確認する必要があります。


横葺きの金属屋根

横葺きは、屋根材を軒先と平行方向に並べながら施工していく方法です。

住宅の金属屋根で多く見られる形状の一つです。

一般的には軒先側から棟側へ向かって施工し、上側の屋根材が下側へ適切に重なる、または接合される構造になっています。

ここでも重要なのは雨水の流れです。

屋根材の継ぎ目や接合部分から水が入りにくい構造をつくりながら、屋根面に降った雨を軒先まで流します。

ただし、必要となる屋根勾配や接合方法などは製品によって異なるため、施工時には使用する屋根材の基準を確認します。


縦葺きの金属屋根

縦葺きは、棟側から軒先側へ向かう方向に長く屋根材を施工する方法です。

屋根の流れ方向に沿って材料を配置するため、横方向の継ぎ目を少なくできる構成の製品もあります。

縦葺きにもさまざまな種類があり、屋根材同士をかみ合わせるものや、接合部分を立ち上げる形状などがあります。

見た目が似ていても施工方法が同じとは限りません。

金属屋根は特に製品ごとの構造の違いが大きいため、見た目だけで判断せず、その屋根材の仕組みを理解することが大切です。


金属屋根と屋根勾配

屋根材には、それぞれ施工できる屋根勾配があります。

金属屋根も例外ではありません。

比較的緩い勾配に対応できる製品もありますが、すべての金属屋根が同じ条件で施工できるわけではありません。

必要な勾配は、屋根材の形状、接合方法、製品仕様などによって異なります。

そのため施工前には、屋根の勾配を確認し、その建物に使用できる屋根材であるかを確認する必要があります。

屋根勾配については、「屋根勾配とは」で詳しく解説します。


金属屋根では板金の納まりも重要

金属屋根では、屋根面そのものだけでなく、棟、軒先、ケラバ、谷、壁際などにも金属製の役物や板金が使用されます。

これらは単に見た目を整えるための部材ではありません。

屋根材の端部を納めたり、雨水を適切な方向へ流したり、雨水の侵入を防いだりする重要な役割を持っています。

例えば棟では、左右の屋根面が合わさる部分を適切に納める必要があります。

谷では、複数の屋根面から集まってくる水を受け、軒先方向へ排出する必要があります。

壁際では、屋根を流れる水と外壁を流れる水の両方について考えます。

金属屋根の施工では、平らな屋根面だけをきれいに施工しても、端部や取り合い部分の納まりが適切でなければ十分ではありません。


金属屋根と雨仕舞

金属屋根でも、雨仕舞の基本は「雨水がどこから来て、どこを通り、どこへ出ていくのか」を考えることです。

屋根材の表面を流れる水。

屋根材の内側へ入る可能性がある水。

棟や谷などへ集まる水。

壁際を伝ってくる水。

これらをそれぞれ適切に外へ導く必要があります。

特に金属屋根では、屋根材や板金を加工して納める部分も多いため、それぞれの形状がどのように水を処理しているのかを理解することが重要です。

雨仕舞については、「屋根工事の雨仕舞とは」で詳しく解説しています。


傷や切断部を雑に扱わない

金属屋根材は、施工中に切断や加工を行う場合があります。

その際には、材料の表面を必要以上に傷つけないよう注意する必要があります。

工具や材料を屋根面の上で引きずったり、切断時に発生した切粉などを長時間残したりすることも避ける必要があります。

施工中についた傷や、材料の切断部などについては、使用する製品の施工要領に従って適切に扱います。

完成すれば屋根全体がきれいに見えていても、施工中の小さな扱いの積み重ねが長期的な状態に関係することがあります。

そのため金属屋根では、材料の運搬、加工、施工、清掃まで丁寧に行うことが大切です。


異なる金属の組み合わせにも注意する

金属には、それぞれ異なる性質があります。

異なる種類の金属を不用意に接触させた状態で水分が加わると、腐食に関係する場合があります。

そのため金属屋根では、屋根材だけでなく、使用するビス、釘、板金、雨樋、その他周辺部材との組み合わせにも注意が必要です。

現場で「金属なら何でも同じ」と考えて材料を選ぶことはできません。

使用する屋根材の施工基準を確認し、それに適した部材を使用することが重要です。


金属屋根と結露

金属屋根について学ぶ際には、雨水だけでなく結露についても知っておく必要があります。

結露は、空気中の水蒸気が温度条件によって水滴になる現象です。

屋根内部の温度や湿度、断熱、換気などの条件によっては、屋根の内部で結露が発生する場合があります。

そのため建物全体では、屋根材だけでなく、下地、断熱、防湿、換気などを含めて考える必要があります。

結露と雨漏りは水が見えるという点では似ていますが、原因は同じではありません。

水が発生しているからといって、すべてを屋根材からの雨漏りと判断しないことも大切です。


金属屋根は雨音が大きいのか

金属屋根について一般の方からよく聞かれることの一つに、雨音があります。

金属板そのものに雨粒が当たれば音は発生します。

しかし、室内で感じる音の大きさは、屋根材だけで決まるものではありません。

屋根の構造、下地、断熱材、天井、室内までの距離など、建物全体の構成によって聞こえ方は変わります。

そのため「金属屋根だから必ず室内で大きな雨音がする」と一律に判断することはできません。

屋根材単体の性質と、完成した建物での性能を分けて考えることが重要です。


金属屋根は夏に暑いのか

金属は熱を伝えやすい材料です。

そのため屋根材そのものは日射によって温度が上がります。

ただし、室内の暑さは屋根材だけで決まるものではありません。

屋根の色、断熱材、通気や換気、天井構成など、さまざまな条件が関係します。

金属屋根について考えるときには、「金属だから暑い」「この屋根材なら暑くない」という単純な判断ではなく、屋根全体・建物全体として考えることが必要です。


金属屋根はカバー工法でも使用される

金属屋根は、既存住宅の屋根カバー工法でも使用されることがあります。

カバー工法では、既存屋根を残した状態で、その上へ新しい屋根を施工します。

既存屋根をすべて撤去する葺き替え工事とは異なる方法です。

金属屋根は比較的軽量な製品が多いことから、カバー工法で採用されることがあります。

ただし、すべての既存屋根にカバー工法が適しているわけではありません。

既存屋根材の種類、下地の状態、屋根形状などを確認し、使用する工法や製品の条件に合っているかを判断する必要があります。

屋根カバー工法については、別記事の「屋根カバー工法とは」で詳しく解説します。


金属屋根と葺き替え工事

既存屋根を撤去する葺き替え工事でも、仕上げ材として金属屋根を使用することがあります。

葺き替えでは既存屋根材を撤去するため、その下にある野地板などの状態を確認できることが特徴です。

必要に応じて下地を補修し、新しい下葺き材を施工したうえで、新しい金属屋根を施工します。

完成した屋根材だけでは見えませんが、新しい屋根を長く使用するためには、その下にある下地や防水層を適切な状態にしておくことが重要です。


金属屋根を施工するときに確認したいこと

金属屋根の施工では、屋根材を取り付けることだけに集中しないことが重要です。

施工前には、

屋根の勾配は適しているか。

下地に問題はないか。

下葺き材は適切に施工されているか。

屋根材の固定方法は合っているか。

棟・谷・軒先・ケラバ・壁際はどのように納めるのか。

屋根材や板金を傷つけていないか。

切粉やごみが残っていないか。

使用する周辺部材の組み合わせに問題はないか。

などを確認します。

確認する内容は使用する製品や現場条件によって変わりますが、「屋根面を張れば終わりではない」ということを理解しておく必要があります。


メーカーの施工基準を確認する

金属屋根は、製品によって形状や施工方法が大きく異なります。

見た目が似た製品でも、固定方法、屋根材同士の接合、必要な勾配、役物の形状などが異なる場合があります。

そのため施工では、過去に似た屋根を施工した経験だけに頼らず、使用する製品の施工マニュアルや仕様書を確認することが重要です。

施工方法を覚えることは必要ですが、それ以上に、

「今使用している屋根材は何なのか」

「この製品ではどのように施工することになっているのか」

を確認する習慣をつけることが大切です。


新人が金属屋根を学ぶときに意識したいこと

金属屋根を初めて施工すると、まず材料の加工や固定方法に目が向きやすくなります。

しかし、本当に理解しておきたいのは、その加工や形状にどのような意味があるのかという点です。

なぜここを折り曲げるのか。

なぜこの部材が上側になるのか。

なぜこの部分に水の出口が必要なのか。

なぜここでは別の役物を使用するのか。

一つひとつの施工について理由を考えると、雨仕舞との関係が見えてきます。

金属屋根は加工できる材料だからこそ、形をつくるだけではなく、その形によって水をどの方向へ流そうとしているのかを理解することが重要です。


まとめ|金属屋根は材料と納まりの両方を理解する

金属屋根は、金属製の屋根材を使用した屋根の総称で、ガルバリウム鋼板はその屋根材に使用される代表的な材料の一つです。

金属屋根には、軽量な製品が多いことや、さまざまな形状・工法があることなどの特徴があります。

一方で、表面の傷、切断部、周辺部材との組み合わせ、雨仕舞、結露など、金属屋根ならではの注意点もあります。

重要なのは、「ガルバリウム鋼板だから安心」「金属だから軽い」といった特徴だけを覚えることではありません。

屋根材がどのように固定され、雨水がどこを流れ、棟や谷、軒先などがどのように納められているのか。

そして、その下にある下葺き材や下地がどのような役割を持っているのか。

そこまで含めて理解することで、金属屋根を一つの屋根システムとして考えられるようになります。


執筆者情報

執筆:株式会社 大日本絋産 技術スタッフ|屋根・外装工事担当

新築・改修を含む屋根・外装工事に携わるスタッフが、実務経験と社内教育内容をもとに解説しています。


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