屋根工事とは?屋根の構造と基本をわかりやすく解説
執筆:株式会社 大日本絋産 技術スタッフ
┃この記事について
本記事は、株式会社 大日本絋産の社内教育資料として作成するとともに、屋根工事について知りたい一般の方にも役立てていただけるよう公開しています。
今回は、屋根工事を学ぶうえで最初に知っておきたい、屋根の役割・基本構造・各部材の関係について解説します。

┃屋根工事とは
屋根工事というと、瓦やスレート、金属屋根などの「屋根材を取り付ける仕事」を思い浮かべるかもしれません。
しかし、実際の屋根は屋根材だけでできているわけではありません。
屋根材の下には下葺き材や野地板などがあり、屋根の形状によっては桟木、棟、谷、板金など、さまざまな部材が組み合わされています。
さらに、屋根を流れた雨水を受ける雨樋まで含め、それぞれの部材が役割を持ちながら建物を雨や風から守っています。
そのため屋根工事を理解するには、まず「屋根材だけを見るのではなく、屋根全体を一つの仕組みとして見る」という考え方が大切です。

┃屋根の基本的な構造
屋根の構造や施工方法は、使用する屋根材や工法によって異なります。
一般的な住宅では、建物側から見ると野地板などの下地があり、その上に下葺き材を施工し、さらにその上へ屋根材を施工します。
屋根材によっては、下葺き材と屋根材の間に桟木などを使用する場合もあります。
最も外側にある屋根材は、雨水の大部分を屋根の勾配に沿って軒先方向へ流す役割を持っています。
しかし、強風を伴う雨や屋根の形状によっては、屋根材の内側へ雨水が入り込む可能性があります。
そこで、屋根材の下に施工されている下葺き材が重要になります。
屋根材と下葺き材、それらを支える下地がそれぞれ役割を持つことで、屋根全体として建物を雨水から守っています。

┃屋根材の役割
屋根材は、屋根の最も外側に施工される材料です。
住宅では、瓦、化粧スレート、金属屋根、アスファルトシングルなどが代表的です。工場や倉庫、店舗などでは折板屋根も多く使用されています。
屋根材によって、重量、固定方法、重ね方、施工可能な勾配などが異なります。
そのため、施工する際には見た目だけで判断するのではなく、使用する材料ごとの施工方法や基準を確認することが重要です。
┃下葺き材の役割
下葺き材は、屋根材の下に施工される防水材料です。
完成後にはほとんど見えなくなりますが、屋根の防水を考えるうえで非常に重要な部分です。
屋根材の内側へ雨水が入り込んだ場合、その水を建物内部へ到達させず、軒先方向へ排出する役割を持っています。
そのため施工時には、材料を張るだけではなく、重ね方や端部、立ち上がり、取り合い部分などを適切に納める必要があります。
┃野地板の役割
野地板は、下葺き材や屋根材を支える屋根の下地です。
新築工事では新しく施工された下地の上へ屋根をつくっていきますが、既存住宅の改修では、屋根材を撤去して初めて下地の傷みが確認できることもあります。
屋根材だけを新しくしても、その下にある下地が十分な状態でなければ、屋根全体として適切な施工にはなりません。
特に葺き替え工事では、既存屋根を撤去した段階で下地の状態を確認することが重要です。

┃棟・谷・軒先・ケラバ
屋根には、平らな屋根面以外にもさまざまな部分があります。
屋根面同士が最も高い位置で交わる部分を「棟」といいます。
反対に、屋根面同士が谷状に交わり、複数の屋根面から雨水が集まる部分が「谷」です。
屋根の下側で雨水が流れ落ちる部分を「軒先」、切妻屋根などで軒先とは異なる側の屋根端部を「ケラバ」と呼びます。
これらの部分は、屋根の途中よりも納まりが複雑になりやすく、雨水や風の影響について特に注意して施工する必要があります。
中でも谷は、多くの雨水が集中する場所です。
屋根工事では、屋根材そのものだけでなく、このような各部の名称と役割を理解しておくことが重要です。

┃屋根工事で重要な「雨仕舞」
屋根工事を学ぶうえで、必ず理解しておきたい考え方の一つが「雨仕舞」です。
雨仕舞とは、建物に降った雨水を内部へ侵入させず、適切に外へ流すための納まりや考え方です。
屋根工事では、単に材料を取り付けるだけでなく、
雨水はどこから来るのか。
どの方向へ流れるのか。
どこに集まりやすいのか。
もし屋根材の内側へ入った場合、どこへ排出されるのか。
ということを考えながら施工します。
特に、棟、谷、軒先、ケラバ、外壁と屋根が接する部分、屋根を貫通する部分などでは、雨水の動きを考えることが重要です。
決められた施工方法を覚えるだけでなく、「なぜこのような納まりになっているのか」を理解することで、屋根の形状や使用する材料が変わった場合にも対応しやすくなります。
屋根工事では、形を覚えること以上に、水の流れを理解することが重要です。

┃屋根勾配も施工に関係する
屋根には傾斜があります。
この傾斜を「屋根勾配(やね こうばい)」といいます。
屋根勾配は建物の外観を決めるだけでなく、雨水の流れや、使用できる屋根材にも関係します。
一般的に勾配が大きいほど雨水は流れやすくなりますが、だからといって急な屋根であれば何でも良いというものではありません。
屋根材には、それぞれ施工可能な勾配や施工条件があります。
そのため施工前には、建物の勾配と使用する屋根材の施工条件を確認する必要があります。
「どの屋根材でも、どの屋根にも同じように使えるわけではない」ということを覚えておくことが大切です。

┃新築工事と改修工事では確認する内容が異なる
屋根工事には、新築工事と既存建物の改修工事があります。
新築では、新しく施工された下地の上に下葺き材や屋根材を施工していきます。
一方、改修工事では、まず現在の屋根がどのような状態なのかを確認する必要があります。
既存の屋根材だけでなく、下地、下葺き材、板金などの状態によって、必要となる工事内容が変わります。
代表的な改修方法には、傷んだ部分だけを直す部分補修、既存屋根材を撤去して新しい屋根へ施工し直す葺き替え工事、既存屋根を残したまま新しい屋根材を重ねるカバー工法などがあります。
重要なのは、工法を先に決めるのではなく、現在の屋根の状態を確認したうえで、適した工事方法を考えることです。
同じ築年数の建物であっても、屋根材、形状、周囲の環境、これまでの維持管理などによって状態は異なります。

┃屋根工事を学ぶときに大切なこと
屋根工事を覚え始めたばかりの段階では、材料の名称、工具、施工手順など、覚えることが非常に多くあります。
しかし、最初からすべてを暗記しようとする必要はありません。
まず理解しておきたいのは、
屋根材で雨水の大部分を流す。
屋根材の内側へ入った雨水は下葺き材で受ける。
受けた雨水を建物内部ではなく外へ排出する。
それらを支える下地がある。
という屋根全体の基本的な仕組みです。
そのうえで、瓦、スレート、金属屋根など個別の屋根材や、棟、谷、軒先など各部の納まりを覚えていくと、それぞれの施工が何のために行われているのか理解しやすくなります。
現場では、過去に見た形だけを頼りに施工するのではなく、図面、仕様書、使用する材料の施工基準、現場ごとの指示を確認することも重要です。
「形を覚える」のではなく、「なぜそうするのかを理解する」。
屋根工事を学ぶうえで、この考え方を大切にする必要があります。
┃まとめ|屋根工事は屋根全体の仕組みを理解することから始まる
屋根工事は、屋根材を取り付けるだけの仕事ではありません。
屋根材、下葺き材、野地板、板金、棟、谷、軒先、雨樋など、それぞれの部材が役割を持ちながら一つの屋根を構成しています。
その中でも特に重要なのが、雨水を建物内部へ入れず、適切に外へ流すことです。
施工方法を覚えるときには、「こう施工することになっている」で終わるのではなく、「なぜこの施工が必要なのか」まで考えることが大切です。
屋根材や建物の形状が変わっても、屋根の基本的な仕組みを理解していれば、次に何を確認すべきなのかを考えられるようになります。
屋根工事を学ぶ第一歩は、個別の材料や工法を暗記することではなく、屋根全体がどのような仕組みで建物を守っているのかを理解することです。
執筆者情報
執筆:株式会社 大日本絋産 技術スタッフ|屋根・外装工事担当
新築・改修を含む屋根・外装工事に携わるスタッフが、実務経験と社内教育内容をもとに解説しています。
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屋根全体の基本を理解したら、次は防水を支える「屋根の下葺き材とは」、雨水を適切に処理するための「屋根工事の雨仕舞とは」もあわせて確認すると、屋根工事の仕組みをより理解しやすくなります。
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