筑紫野市の基準風速34m/sとは?台風に強い屋根材3選と建築基準法
屋根の葺き替えや新築工事で屋根材を選ぶとき、デザインや価格を重視する方は多いと思います。
しかし、福岡県で暮らすうえでは、台風などの自然災害に備えた屋根の性能も気になるところです。
実は、建物を設計する際に使用する「基準風速」という数値が、地域ごとに定められていることをご存じでしょうか。
今回は、福岡県筑紫野市に本社を置く株式会社 大日本絋産のスタッフが、筑紫野市と周辺地域の基準風速、建築基準法との関係、強風への備えを考えた屋根材について、公式資料をもとに調べてみました。
結論から言うと、台風に強い屋根を考えるうえで重要なのは、屋根材そのものの性能だけでなく、建物の条件に合った固定方法で施工することです。
▌そもそも「基準風速」とは?
基準風速とは、建物を設計するときに、風によって建物にどのくらいの力が加わるかを計算するための数値です。
過去の台風の記録などをもとに国が定めており、地域によって30m/sから46m/sまでの数値が設定されています。
例えば、筑紫野市の基準風速は34m/sです。
では、筑紫野市では風速34m/sを超える台風は来ないのでしょうか?
もちろん、そういう意味ではありません。
また、「風速34m/sまでは、どんな屋根でも壊れない」という意味でもありません。
簡単に言えば、その地域で建物の強風対策を考えるときに使う、設計上の基準となる数値です。
実際に屋根へかかる風の力は、建物の高さや屋根の形状、周囲に建物があるかどうかなどによっても変わります。
そのため、基準風速は建物の安全性を検討するための出発点となります。
▌筑紫野市と周辺地域では、基準風速が違う?
福岡県が公開している公式資料を確認すると、筑紫野市と周辺地域の基準風速は次のようになっています。
地域 | 基準風速 |
筑紫野市 | 34m/s |
春日市 | 34m/s |
久留米市(旧田主丸町・旧北野町を除く) | 34m/s |
久留米市(旧田主丸町・旧北野町) | 32m/s |
小郡市 | 32m/s |
筑紫野市と春日市は34m/s、小郡市は32m/sです。
そして、今回調べていて少し意外だったのが久留米市です。
久留米市は、旧田主丸町・旧北野町の区域が32m/s、それ以外の区域が34m/sとなっています。
つまり、同じ久留米市内であっても、建物の所在地によって基準風速が異なるのです。
普段の生活で意識することは少ない数字ですが、建物の設計では、このような地域ごとの違いも考慮されています。
▌基準風速は、高い方がいい?低い方がいい?
基準風速が高いほど、設計上はより大きな風の力を想定することになります。
例えば、筑紫野市の34m/sと小郡市の32m/sを比較すると、風速の差はわずか2m/sですが、同じ建物条件で計算した場合、風の圧力には約13%の違いが生じます。
では、この違いは実際の屋根工事にどう関係するのでしょうか?
例えば、同じ金属屋根材を使用する場合でも、建物の高さや屋根の形状、想定される風の力によって、屋根材を固定するビスの本数や間隔などを検討する必要があります。
また、屋根材だけでなく、棟板金などの固定方法や、屋根下地の状態も重要です。
実際に、強風によって棟板金が外れたり、屋根材がめくれ上がったりして、雨漏りにつながった事例もあります。
つまり、同じ屋根材を使っていても、固定方法や施工状態によって、強風に対する強さは変わるということです。
ただし、筑紫野市の基準風速が34m/sだからといって、現在の屋根が危険という意味ではありません。
これから屋根の葺き替えや新築工事を検討する方は、屋根材のデザインや価格だけでなく、「台風に備えて、どのような方法で屋根材を固定するのか」についても、施工業者に確認しておくと安心です。
▌基準風速には法律上の決まりがある?
あります。
基準風速は、建築基準法施行令第87条と、国が定める告示に基づく数値です。
建物の構造計算では、この数値を使って風の力を検討します。
また、屋根材についても、風や地震などによって脱落しないよう、適切に取り付けることが建築基準法で求められています。
特に瓦屋根については、2019年の房総半島台風による被害などを踏まえ、2022年1月から固定方法に関する基準が強化されました。
新築建築物の瓦屋根では、原則としてすべての瓦を釘やビスなどで固定する施工が求められています。
▌古い瓦屋根も、今すぐ葺き替える必要がある?
いいえ。
すでに建っている住宅の瓦屋根について、2022年の基準改正だけを理由に、直ちに全面的な葺き替えが義務付けられるわけではありません。
ただし、瓦のズレや浮き、固定部分の劣化などがある場合は、点検や補修を検討することが大切です。
また、屋根を全面的に葺き替える場合には、工事内容に応じて適用される基準を確認し、現在の耐風基準を踏まえた施工方法を選ぶことが望まれます。
▌台風や地震への備えを考えた、おすすめ屋根材3選
ここからは、強風への備えを考えた屋根材を3種類ご紹介します。
屋根材にはそれぞれ異なる特徴があります。
今回は、防災瓦、軽量な瓦風屋根材、金属屋根材から、耐風性能や耐久性などに注目して、3つの製品を選んでみました。
① 鶴弥「スーパートライ110 タイプⅠ」

瓦ならではの重厚感と、優れた耐風性能を両立した防災瓦です。
最大の特徴は、上下の瓦がかみ合う「スーパーロック工法」。
瓦同士をしっかりとかみ合わせることで、強風による浮き上がりやズレを抑える構造となっています。
メーカーでは耐風圧性能試験に加えて、地震を再現した振動試験も実施しています。
また、陶器瓦ならではの耐久性も魅力です。
表面は高温で焼き上げられたガラス質の層で覆われており、屋根材自体の美観を保ちやすく、一般的な塗装屋根材のような定期的な再塗装を必要としません。
豊富な色やデザインが用意されているため、和風・洋風の住宅にも合わせやすい製品です。
「瓦屋根の美しさを大切にしながら、台風や地震への備えも考えたい」という方に魅力的な屋根材です。
② ケイミュー「ROOGA(ルーガ)」

瓦のような厚みのある外観と、屋根の軽さを両立した屋根材です。
大きな特徴は、一般的な陶器瓦と比較して軽量であること。
屋根が軽くなると建物上部の重量を減らせるため、地震時の建物への負担を考えるうえでもメリットがあります。
さらに、屋根材を対角2点で釘留めする施工方法を採用。
メーカーでは風速60m/sまでの条件で耐風試験を行い、強風時の屋根材の挙動を検証しています。
また、屋根材に厚みがありながら、衝撃に対しても割れにくい構造となっています。
デザインには、和瓦のような曲線を持つ「雅」と、自然石のような質感を表現した「鉄平」があり、住宅の外観に合わせて選べるのも魅力です。
「瓦のような高級感が欲しいけれど、屋根の重量も抑えたい」という方におすすめしたい製品です。
③ アイジー工業「スーパーガルテクト」

軽さ・耐久性・断熱性を重視する方におすすめの金属屋根材です。
スーパーガルテクトは、1㎡あたり約5kgという非常に軽い屋根材です。
一般的な瓦屋根と比較すると大幅に軽く、屋根を葺き替える際に建物上部の重量を減らしたい場合にも有力な選択肢となります。
また、金属屋根材と断熱材が一体になった構造を採用しており、屋根の軽量化だけでなく、遮熱性や断熱性にも配慮されています。
表面材には耐食性を高めた「超高耐久ガルバ」を使用。
メーカーが公表する強風実験では、風速65m/sを超える条件でも問題がなかったと報告されています。
さらに、金属屋根ならではのすっきりとした外観や、特殊なちぢみ塗装による落ち着いた質感も特徴です。
「屋根を軽くしたい」「耐久性や断熱性も重視したい」という方に魅力的な製品です。
なお、各メーカーの耐風試験は試験方法や条件が異なります。試験風速の数字だけで、製品同士の強さを順位付けできるものではありません。
▌屋根材を選ぶときに、確認しておきたいこと
ここまで3種類の屋根材をご紹介しましたが、屋根材の性能が優れていれば、それだけで安心というわけではありません。
特に台風対策では、屋根材を固定する釘やビスの種類、取り付け方法、屋根下地の状態などが重要になります。
また、地震への備えを考えるなら、現在の屋根よりも軽い材料へ変更することも選択肢の一つです。
例えば、瓦屋根を新しい瓦へ葺き替える場合と、軽量な金属屋根へ変更する場合では、屋根の重量や施工方法が異なります。
そのため、見積もりを比較する際は、単に「どの屋根材を使うか」だけでなく、次の点も確認してみてください。
使用する屋根材の種類と製品名
台風などの強風を想定した固定方法
既存の屋根下地の補修が必要か
葺き替えによって屋根の重量がどう変わるか
こうした説明を受けることで、価格だけでは分からない工事内容の違いも理解しやすくなります。
▌筑紫野市で屋根の葺き替えをご検討の方へ
今回は、筑紫野市の基準風速34m/sと、強風への備えを考えた屋根材についてご紹介しました。
同じ福岡県内でも、基準風速には地域ごとの違いがあり、久留米市のように市内でも数値が異なる地域があります。
住宅の屋根は、一度施工すると長年にわたって雨や風、日差しにさらされ続ける部分です。
だからこそ、屋根の葺き替えや新築工事では、デザインや価格だけでなく、将来的な台風・地震などの自然災害も考慮して、屋根材や施工方法を選んでおくと安心ですね。
株式会社 大日本絋産は、1997年の創業以来、瓦屋根や建築板金工事などに携わってきました。
現在は福岡県筑紫野市を拠点に、瓦屋根・スレート屋根・金属屋根などの施工や葺き替え、屋根修理に対応しています。
屋根材の選定では、建物の状態やご希望を確認し、使用する材料や必要な施工内容をご説 明しています。
▌公式情報・参考資料
福岡県|建築基準法施行令第87条第2項に規定する風速Vo
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/life/807581_62812078_misc.pdf
国土交通省|瓦屋根の固定方法に関する基準改正
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/content/001387862.pdf
株式会社 鶴弥|スーパートライ110 タイプⅠ
https://www.try110.com/product/kawara/type1/index.html
ケイミュー株式会社|ROOGAの性能
https://www.kmew.co.jp/shouhin/roof/rooga/feature1.html
アイジー工業株式会社|スーパーガルテクト
https://www.igkogyo.co.jp/lp/galtect/
※本記事は、2026年10月25日時点の公的資料および屋根材メーカーの公式情報をもとに、株式会社 大日本絋産のスタッフが調査・整理したものです。屋根材の選定や施工方法は、建物の構造・既存下地・屋根形状などを考慮して判断する必要があります。
執筆:株式会社 大日本絋産 スタッフ
©株式会社 大日本絋産