初めて屋根に上がった日。怖くて這いつくばっていた私が、屋根職人になるまで。
今回は、私が屋根工事の仕事を始めたばかりの頃のお話です。
今でこそ屋根工事に15年以上携わっていますが、最初から屋根の上で普通に作業ができたわけではありません。
むしろ、初めて屋根に上がったときは……。
怖すぎて、屋根に這いつくばっていました。笑
そもそも、屋根の上が怖すぎる
地上から屋根を見上げているときと、実際に屋根の上に立ったときでは、まるで感覚が違います。
高さも怖いし、勾配も怖い。
周りの職人たちは当たり前のように動いているのに、自分だけは思うように動けない。
あまりにも怖くて、代表にこんなことを言ったのを覚えています。
「俺、この仕事向いていないかもしれん……。」
すると代表は、笑いながら一言。
「みんなそこから始まるんだから、気にすんな。」
今思えば、ずいぶん弱気な新人だったと思います。笑
屋根に慣れても、今度は瓦を割る
そんな私も、少しずつ屋根の上での作業に慣れていきました。
ところが、次に待っていたのは、瓦の扱い方という難題です。
瓦工事では、屋根の形状や納まりに合わせて瓦を加工することがあります。
当時は、瓦切断機、通称「ガッチャン」を使った加工にも苦戦していました。
うまく切れずに失敗して、瓦を駄目にしてしまうこともしばしば。
そして、ようやく加工が終わっても、まだ安心できません。
瓦を固定しようと金づちを振ったら、釘ではなく瓦そのものを叩いてしまうこともありました。
パキッ。
……あっ。
そんな失敗を繰り返していた頃、代表によく言われた言葉があります。
「お前は瓦を割りに来とるんか?」
怒りと呆れ、そして少しの笑いが混ざったような言い方でした。笑
もちろん、失敗を責め立てるための言葉ではありません。
「ちゃんとしろよ」という注意も含まれていたのだと思います。
しかし、当時の私からすれば、瓦を割ろうと思って割っているわけではありません。
瓦を葺きに来たはずなのに、なぜか瓦を割っている。
我ながら、困った新人です。笑
それでも、少しずつ仕事を覚えていった
当然ですが、屋根工事は簡単な仕事ではありません。
屋根の上で安全に作業すること、材料を正しく扱うこと、屋根の形状に合わせて施工すること。
覚えることはいくらでもあります。
最初は怖くて動けなかった屋根の上でも、経験を重ねるうちに少しずつ落ち着いて作業できるようになりました。
失敗ばかりだった瓦の加工も、何度も繰り返す中で少しずつ身についていきました。
そして、仕事を始めて3年ほど経った頃には、一人で現場を任せてもらえるようになっていました。
取引先の方々との仕事を重ね、少しずつ信頼していただけるようになったことも、大きな励みになりました。
あれほど仕事に向いていないと思っていた自分が、まさか一人で屋根工事の現場を任されるようになるとは。
新人の頃には、想像もしていなかったことです。
今だから笑える、新人時代の思い出
初めて屋根に上がった日は、怖くて這いつくばっていた私。
瓦の加工を覚えようとすれば失敗し、釘を打とうとすれば瓦を割る。
それでも、少しずつ経験を積み、気づけば屋根工事に15年以上携わるようになりました。
あの頃、代表からよく言われた言葉があります。
「お前は瓦を割りに来とるんか?」
今なら、こう答えられます。
「はい。当時の私は、瓦葺き職人ではなく、瓦割り職人でした。」
……ちなみに、仕事を覚えるより先に、瓦を割る腕だけは一人前だった気がします。
代表が一番心配していたのは、私の将来ではなく、瓦の在庫だったのかもしれません。笑
執筆:株式会社 大日本絋産 スタッフ(屋根現場歴15年以上)
屋根工事の現場で経験してきた出来事や、職人ならではの仕事の話をご紹介しています。
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