瓦屋根の南蛮漆喰。綺麗に塗っても、誰も褒めてくれない話。
瓦屋根の工事で行う、南蛮漆喰(なんばんしっくい)のコテ塗り作業。
私たち屋根職人の間では、よく「なんばん塗り」と呼んでいます。
この作業、簡単そうに見えて、実はなかなか難しいんです。
求められるのは、表面の綺麗さだけではありません。
適切な厚みを確保し、必要な部分までしっかり材料を詰め込み、硬化が進む前に綺麗に仕上げる。
コテの角度や力加減、材料の状態、仕上げるタイミングなど、少しの違いで仕上がりが変わります。
たかがコテ塗り、されどコテ塗り。なかなか奥が深い。
左官屋さんが塗ったら、どれほど綺麗なんだろう?
私たち屋根職人は、毎日南蛮漆喰を塗っているわけではありません。
スレート屋根、アスファルトシングル、金属屋根など、漆喰を使わない屋根工事も数多くあります。
だからこそ、なんばん塗りをしていると、ときどき考えることがあります。
「毎日のようにコテを握っている、本職の左官屋さんが塗ったら、どれほど綺麗に仕上がるんだろう?」
きっと、見事な仕上がりになるんでしょうね。
もちろん、屋根工事には屋根工事ならではの施工方法や注意点があります。
それでも、コテ一本で美しく仕上げる技術には、職人として興味をそそられます。
これはシーリング工事でも同じです。
ほんの少しヘラの角度や押さえる力を変えるだけで、仕上がりが変わる。
一見単純そうな作業ほど、実は細かなコツがたくさんあるものです。
ところで、誰か褒めてくれませんか?笑
そんなわけで、なんばん塗りをするときは、厚みや詰め込み具合を確認しながら、表面もできる限り綺麗に仕上げようとしています。
ところが、一つだけ残念なことがあります。
どれだけ丁寧に仕上げても、地上からはほとんど見えないんです。
お客様はもちろん、現場監督さんからも、コテの仕上がりを褒められた記憶はほとんどありません。笑
もちろん、見た目だけでなく、屋根として必要な施工品質が確保されていることが何より大切です。
それでも、職人としては少しでも綺麗に仕上げたい。
誰に見せるわけでもないのに、気がつけばコテの跡まで気にしている。
なんばん塗り、けっこう面白いんです。
……たまには、誰か褒めてくれてもいいんですけどね。笑
執筆:株式会社 大日本絋産 スタッフ(屋根現場歴15年以上)
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